【番外編】もしも願いが叶うなら… ー星空の下、キミとの約束。
叶ってたよ…、本当に叶えてもらってた。


重い病気で入院していた小学生時代を思い出す。


何度も手術をしてもあまり効果がなくて、
長い間意識が戻らなかったこともある。


そんな私が奇跡みたいな回復をして、

今こうして普通に高校生活を過ごせているのは、この神社の神様のおかげなのかもしれない。


だけど…
だけどやっぱり脳裏に浮かぶのは、さっきと同じ二人の笑顔。

闘病中、私が大好きだったお兄ちゃんとお姉ちゃんの笑顔だった。


私が笑顔で居られる理由だった、大好きな二人。


何でも叶えてくれる神社なんじゃないの…?

だったら……だったら―――っ…。


3人で、色違いだった。

お兄ちゃんが、看護師さんに頼んでプレゼントしてくれたお守り。

3人で、絶対よくなって、今では出来ない当たり前の幸せを過ごそう。

そんな思いで買ってくれたのだというお守りだった。


シルバーのチャームを持っていたお兄ちゃんは、私の意識がない間に、亡くなってしまった。


ゴールドのチャームを持っていたお姉ちゃんは、手術をして、記憶を失ってしまった。


幼心にも伝わっていた、思い合っていた二人。


お互いの苦しい時に支え合って、お互いにとっての希望だった。

私にとっても憧れの関係だった二人は、永遠に離れ離れになってしまったんだ。


私が、長い長い眠りから覚めた時には、もう二人はいなかった。

それから一度も忘れることのない二人の笑顔。



―――もしも願いが叶うのなら、

幸せそうな笑顔を見せる二人に、もう一度、会いたい―――



分かってる、叶いっこない。

だけど、願わずにはいられない。


会いたい、会いたい…。


現実を知ったあの日から、数えきれないほどの涙を零した。

だけど、どれだけ泣いたって、まだ枯れることのない涙。


ねえ、お兄ちゃん、お姉ちゃん。

私高校1年生だよ。

あの頃の二人と、同い年になったんだよ…。


私だけが、全部を知ってる。

あの美しい日々は、もう、どんなに願ったって、戻らないんだ。
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