クールな御曹司の溺愛は初恋妻限定~愛が溢れたのは君のせい~
病人とは思えないほど活舌よく話すおじいさまに、有栖川さんが冷たい視線を投げる。
「道理で周りが次のプロジェクトを俺なしで進めているわけですね。こういう悪趣味な真似はやめてください。それで、会長のことだから、もう式場は用意してあるんですよね?」
『じいさん』ではなく、あえて『会長』と役職で呼んでいるのは、彼が怒っているからだろう。
それにしても、『悪趣味な真似』って……どういうこと?
「あの……おじいさまが倒れたっていうのは?」
ふたりの話に割って入って確認すると、有栖川さんが溜め息交じりに答える。
「嘘だよ。ベッドサイドモニタは正常値だし、点滴だって横に置いてあるだけで実際に繋がれていない。それに、危篤の人間はこんな顔色よくて元気に喋らないよ」
「ああ。なるほど。……危篤じゃなくてよかったあ」
身体から一気に力が抜けてへなへなとくずおれると、有栖川さんがギョッとしながら「ちょっ……神崎さん!」と声をあげ、私の腕を掴んで立たせる。
「道理で周りが次のプロジェクトを俺なしで進めているわけですね。こういう悪趣味な真似はやめてください。それで、会長のことだから、もう式場は用意してあるんですよね?」
『じいさん』ではなく、あえて『会長』と役職で呼んでいるのは、彼が怒っているからだろう。
それにしても、『悪趣味な真似』って……どういうこと?
「あの……おじいさまが倒れたっていうのは?」
ふたりの話に割って入って確認すると、有栖川さんが溜め息交じりに答える。
「嘘だよ。ベッドサイドモニタは正常値だし、点滴だって横に置いてあるだけで実際に繋がれていない。それに、危篤の人間はこんな顔色よくて元気に喋らないよ」
「ああ。なるほど。……危篤じゃなくてよかったあ」
身体から一気に力が抜けてへなへなとくずおれると、有栖川さんがギョッとしながら「ちょっ……神崎さん!」と声をあげ、私の腕を掴んで立たせる。