クールな御曹司の溺愛は初恋妻限定～愛が溢れたのは君のせい～

「大丈夫か？」と彼に聞かれ、苦笑いしながら返した。
「だ、大丈夫……です」
　自分で立とうとするけれど、またよろける私に有栖川さんが優しく言う。
「無理しなくていいよ」
　私と彼のやり取りを見たおじいさまが、嬉しそうに笑った。
「そういうふたりが見たかった。明日式を挙げてもらう。これは有栖川家の家長としての命令だ」
　明日式を挙げる？　え、ええ～！
　とんでもない展開に私は言葉をなくしていたけれど、有栖川さんはしばしおじいさまを見据えると、渋々といった様子で頷いた。
「……わかりました。今日は疲れているのでこれで失礼します」
「ちょっと待て。お前と美雪ちゃんの新居はもう手配してある。今日から一緒に住んでもらう」
　そのおじいさまの言葉で有栖川さんの周りの空気が、一瞬カチンと凍ったような気がした。
「本当に勝手な人ですね」