唇を隠して,それでも君に恋したい。


「意外だな。敦はちゃんとムッツリなやつだと思ってたのに」



スズは……爽やかな顔してオープンスケベだからびっくりだよね。

とは,言わないでおく。



「伊織は? 伊織のタイプはどんな子? あの中にいる?」



会話に混じっていないことに気付かれたのか,三太は再び僕を標的に恋ばなを強行しようとした。

今度こそ間違えないようにと女の子たちを見てみるけど,どの子もピンとこない。

皆可愛い,ではだめだろうか。



「胸がでかいとかさー尻がでかいとかさーあちこちちっちゃいとかさー」

「三太サイテー。俺だってそんなに明け透けなこと言わないのに」

「えー?? 巨乳のバンボン好きに言われたくない」



僕の,ぼくのタイプは……

少し硬い胸板に,程よくついた腹筋,夏の日でほんのりと焼けた肌。

それから,優しくて,正義感の強い真っ直ぐな人。

……うん。

嘘をつくのは,ちょっと嫌だな。



「はは」

「伊織?」



視線が集まったのを感じる。

僕は三太の顔を見ながら



「ないしょ」



そう言って,笑った。

僕は皆と同じようには,生きられない。






 
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