唇を隠して,それでも君に恋したい。



「伊織。……なんかあったのか? 1人で大丈夫か?」



振り返ると,『え,なんで?』という僕と同じ思いを顔を隠しもしない三太が敦を見上げていた。



「大丈夫だよ。ほんとに用事があるだけだから。明日は皆と帰る。またね」



僕を気にかけてくれるのが嬉しい。

僕に気付いてくれるのが嬉しい。

きゅうと小さくなる心臓に,全て隠せなくなっている顔にだけは気付かれたくなくて。

僕は顔を隠すように,直角に教室を出た。

僕がなんの防御もしていない時に,直ぐに君はそんなことをするから。

ちょっとだけ,ずるいと思う。

言われた辺りで待っていると,目の前からリューが走ってきた。

場所を移ろうと言われて,僕たちは遊具の少ない公園へ向かう。



「それで?」



話は僕から切り出した。



「リューはいつから僕の事を知っていたの」



影響はなくても,何か感じることがあるんだろうか。

だとしたら,きっかけはついさっきの事故チューだと言える。

だけど,リューはそれよりもずっと前から僕の事を知っていたような気がするんだ。

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