唇を隠して,それでも君に恋したい。
「……伊織。敦も。そろそろ座った方がいいんじゃないか。教科担当来てるけど」
「そうか? じゃあそろそろ座るか」
「うん。僕も。準備しなきゃ」
廊下を見ながら告げたリューに頷いて,僕は再度前を向いた。
「ふぅん?」
「何だよ」
バチリとあった和寧の視線に,どこか不快に思った僕はつい喧嘩腰になってしまう。
「まぁまぁまぁまあ」
そこにスズがやって来て,スズは僕を回収するように掴んで引っ張った。
だから。
「どうして僕なんだっ」
「一々くってかかんなって。ほら,準備終わってないんだろ」
「そうだけど!!」
どう考えても意味ありげに何か言ってきた和寧が悪いのに。
納得いかない……!!!
僕はむすっとして,その後後ろから声をかけてきた和寧を2回も無視した。