唇を隠して,それでも君に恋したい。
「和寧!」
けれど多分気のせいだと,僕はぱたぱた走る。
リューはまだ和寧とそんなに仲がいいわけじゃないと思うから。
敦はリューに譲ろうと思った。
偉い,僕,えらい。
自分でいうのもなんだけど,少し前までは,そんな協調性は持ち得なかった。
僕に気づいた和寧がおーと片手をあげる。
その気安い笑顔に,僕はほっとした。
バスに乗り込むと,思った通りペアになったらしい敦とリューが僕たちの前の席に座る。
敦は振り返ったかと思うと,じっと僕の目を見た。
「な,なに? 敦」
「いや,さっき。いや,この間……」
さっき? この間?
どっち……
「お前らに聞きたいことが……」
お前……"ら"?
敦が視線を向けた先にいるのは,和寧。
僕がきょとんとしたまま和寧に目を向けると,そいつはにこりと笑った。