唇を隠して,それでも君に恋したい。
「幻滅,するだろうね」
それが,目的なのか。
そんなことのために,その人も,自分も傷つけるのか。
「僕で最後にしろよ」
自分の口からこんな大胆な言葉が出るなんて思いもしなかった。
だけど,こいつが諦めてまともになるには,今しかないと思った。
僕の持つ興味と,お前のもつ疑問。
それを叶えるから,他は諦めろ。
「なに,伊織。いーの,こんなところで」
「体育館の倉庫よりは粗末じゃないと思うけど」
「それもそうか」
和寧は笑いながらも,その瞳は迷いに揺れている。
僕はその迷いを断つように和寧の前に立って,右手を壁に押し付けた。
ふーと息をはく。
僕だって,怖い。
「……和寧?」
「んー? ……いいよ,君の勝ち」