❤️俺にお前の心をくれ~若頭はこの純愛を諦められない
「美希、一緒に帰ろう」

「誰?」

「俺だよ、亮二だ」

由梨は健吾の後ろに隠れた。

「いつもこうなんです、朝になると記憶がリセットされるんです」

「記憶がリセットされる?、アルツハイマー型認知症なんだろう、由梨は」

「いいえ、アメリカの名医と呼ばれる医者の見解では、症状は良く似ていますが、
心因性健忘症とのことです」

「五年間、その繰り返しだったのか」

「はい、でも私は苦ではありませんでした、美希を愛していますから」

「信じられない」

「いいでしょう、今晩、美希をお願いします、明日の朝、西園寺さんを覚えていないようなら、美希は私が連れて帰ります、毎朝はじめましてなので、お恥ずかしい話ですが、
美希とキスもしたことがありません」

(えっ、俺、さっき、由梨とキスしたけど……)

「わかりました、でも、誰のそばにいたいかは、本人が望むことを最優先するのが一番じゃないですか」

「そんなこと、美希に決められません」

健吾はあまりの過保護に苛立ちを覚えた。

「あんたが由梨にしていることは、本人のためにならねえんじゃねえか」
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