監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。
 出迎えたとき、“こんなにちいさい女子生徒が次席で大丈夫か”と侮辱発言をくれた中年のおえらいさんは、工場のなかを見回す。

 体のうしろで手を組みながら、工場のなかを歩き回るおえらいさんについていくと…不意にその足が止まった。




「ふむ…作業がおそい。もっとまじめにやりなさい」


「いたっ…」




 組んだ手をほどいて、おえらいさんはVerbrechen(フェアブレッヒェン)生の手の甲をパシッとたたく。

 するどい音がひびいて「なっ」と思わず声をもらすと、財前先輩に視線で注意された。


 でも、体罰をするなんて…!


 しかも、そのえじきになったのは、なんの因果か…72番。




「どうした、きみ。手が止まっているぞ。さっさと作業をしなさい。これはきみたちへの罰なのだ」




 手をたたいたのはあなたでしょ…!

 なにこの横暴なひと、とその背中をにらんでいると、72番の表情が怪しくなっていることに気づいた。

 まずい、あばれ出しそう…!
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