監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。
でたらめに逃げようとする私を、ぎゅっと抱きしめてじゃまするひとが1人。
「離してっ!やだやだやだっ!」
「暴れんな、退治してやっから!」
退治!?
私はパッと顔を上げて、涙目で108番を見つめた。
「はやくやっつけてっ!」
「…」
オレンジ色の目を見開いた108番は、しかたなさそうに笑うと「わぁったよ」と答えて、私の頭を抱きかかえる。
「いーこにしてろ」
そうささやいた108番の体が、ぐわっとうごいた。
目のまえの服をつかんで身を固くしていると、数秒後に、ぽんぽんと頭をなでられる。
「“世界一こわい生理的にむりな生き物”はもういねぇから、安心しろ」
「ほ、ほんとに…?」
「ほんと。好きな女ビビらせたりはしねぇ」