Bravo, nous avons gagné !
甘い生活
 互いの休みが重なった前夜、芙蓉と夕夜は、夜景の綺麗な丘の上に車を停め、ぎこちないながらも甘い口づけを交わしていた。
 その後、芙蓉が夕夜の肩に凭れながら夜景を眺めていると、
「ふうちゃん。明日はハタチの誕生日だね」
「覚えててくれたの?」
「当たり前だよ」
「嬉しいなぁ…。あ、でも夕夜さんだけは毎年、いつも覚えててくれたね」
 やはり、家族には毎年忘れられていたのかと、夕夜の胸は痛んだが、改めて“あること”を告げる決意をした。
「ハタチになったら…僕と結婚してくれる?」
 芙蓉は、驚いて夕夜を見つめた。
「慎ましい暮らしにはなっちゃうけど、絶対に後悔だけはさせないって誓うよ」
「私は後悔しなくても、夕夜さんのほうが後悔しない?」
「どうして僕が後悔するの」
「だって、御厨家の現実は知ってるでしょう…?」
「そうだね。だから、家同士の結婚じゃなくて、二人だけの結婚でいいと思ってる。もう親権者の同意も要らないんだし」
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