キミの正体 ~実は独占したがり超絶オオカミでした~
「同じベッドで朝を迎えるのは2度目ですね」

朝日にも負けないキラキラオーラ全開の葵くん。

起き上がろうとベッドに手を着くけど全身にじんわり、と軽い痛みが走った。

「いて……て」

あ、これ……全身筋肉痛だ…。

「あおい…くん…、昨日なんか…激しくなかった?」

大切にする、とか言ったくせに……。

めっちゃオオカミだったことを思い出す。

「すみません。どれだけ僕が妬いたか、全部思い知らせたかったんです」

ほんと……、死ぬほど妬かれた…。

けどなんか……幸せだ。

「ちなみに先輩。そんな上品なブラ、どこで買ったんですか? 僕のために選んだんですか?」

ベッド脇に放り出されたブラをチラッ、と流し見してそう言った葵くん。

「ちっ、ちがう…っ、安かったから……買っただけだよ…」

……葵くんの為に決まってんじゃん。

真っ先にそんな言葉が喉から出かかるけどその為に下着屋で2時間以上迷ったことも見透かされそうで口に出すのは躊躇った。

「そうですか。素敵です」

ーードクン!

直接当たる素肌が色っぽくて心地よくて抜け出せない……。

その余裕そうな笑みがどう考えても年下とは思えなくてずるい。

全部……、心を鷲掴みにされる。
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