パブリックダーリン~私と彼と彼氏~
「ケイっ」

「ずっと1人だった。でも紫衣に会えて、紫衣と一緒に過ごして、紫衣に…」

“好きだよ、私はケイのことっ”

「もう十分だ」

ケイの背中に腕を回した。

いっぱいいっぱい力を入れて、上手く言葉にできないからせめてこうしていたくって。

「紫衣、最後に…」

コツンとおでことおでこを合わせ、目を合わせた。


「名前を呼んでくれ、紫衣がくれた名前」


“彗くんの名前は「すい」も読めるけど「ケイ」も読めるでしょ?”

“だからケイね、名前!”


本当にこれが最後、もう会えない。


これで本当にお別れなんだ。



「ケイ…っ!私、ケイに会えてよかった」


「ケイといられてよかった」


「ケイがいてくれたから…っ」



ぎゅっとケイの手に力が入った。

私を引き寄せて、顔を近付けた。


「なぁ紫衣、1回…1回だけ」

「1回じゃないよ、2回目でしょ」


静かに目を閉じた。

身を任せるように、少し上を向いて。


ケイの吐息が頬にかかって、熱かった。



唇が触れる。



2回目のキスは優しくて温かくて、きっと忘れない感触だった。
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