「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。
「そういう訳でもないだろう。僕からしてみれば、今回の件に嫌悪感を抱いている君の方が人間として正しいとさえ思える。まあ、隣の芝生が青く見えるだけかもしれないが」

 ギルドルア様とクルレイド様は、性格的にはそこまで似ている訳ではないようだ。正反対とさえ、いえるのかもしれない。
 そんな彼らは、お互いに憧れを抱いているのだろう。自分にないものを持っているお互いが、羨ましいのだ。

「ただ、君が僕についてくるつもりであるなら、覚悟を決めてもらおうか。これから僕は、ランカーソン伯爵と再び話をするつもりだ」
「話……しかし、彼女は既に全てを吐いているのではありませんか? まだ何か知りたいことがあるのですか?」
「いや、彼女には証言してもらわなければならないのだ。後世への憂いを断つためにも、もう一人牢に入れる必要がある人物がいる」

 ギルドルア様は、とても涼しい顔でそんなことを言ってきた。
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