【シナリオ】御曹司には興味がない〜スマホ依存症の私に執着しないで〜
第七章 ハプニング
〇社長室
営業部部長より、新規取引開始と、きっかけになった紗菜のことが、報告書で上がってきた。
蓼科「翠、見てみろ」
翠「何だ?」
蓼科「お前の気になっている、水野さんの話題だ」
翠「どういうことだ?」
紗菜のことだと聞き、翠は一気に興味を示す。報告書を隅々まで丹念に目を通して、翠は思わず感嘆の息を吐き出す。
翠「やっぱり、水野さんは期待を裏切らない」
蓼科「仕事以外でも、魅力のある女性ですね」
翠「誰かに取られる前に、俺が何とかしないと」
ブツブツと一人何かを考えている翠をみて、本気なのだと悟る。見た目は別として、人間的に魅力のある女性は、世間が放っておかないだろう。
蓼科「相手は、うちの社員なんですから、無茶はしないで下さいよ」
翠「わかってる」
今まで、翠の方から女性に興味を持ったことがないだけに、どうなるのか未知の世界なのだ。
蓼科「そろそろ、外出の時間です」
翠「ああ」
紗菜のことが気になっても、仙石不動産の社長として、分刻みにスケジュールは埋まっているのだ。じれったいが、どうにもできない現状なのだ。
〇会社のエントランス
車をエントランスの車寄せに手配して、二人は外出する。エレベーターで最上階から一階まで、途中止まることもなく、エントランスへ到着する。
エレベーターから降りると、社長の登場に周囲はざわつく。ところが、外出先から帰ってきてスマホに夢中の紗菜は、全く気づかずにエレベーターへと、スマホを見たまま歩いている。
蓼科と予定を確認しながら歩いていた翠と、スマホに夢中で周囲を見ていなかった紗菜が、お互いに気づけず正面からぶつかり、紗菜は尻もちをつく。翠は、何とかその場に止まる。ところが翠の視線の先の方へと、紗菜のメガネとスマホが飛んでいき、メガネとスマホの行方を追っていた翠の視線が、次にぶつかった紗菜へと向けられる。紗菜は、メガネが飛んでいき、ぶつかった相手が誰かも見えない状態だ。視線をぶつかった相手へ向けるも、顔はわからないしスマホの行方も気になる。
翠「……」
紗菜のメガネがない状態の素顔を見て、衝撃を受ける。メガネの下には、翠好みの美少女が隠れていた。紗菜の書類に惚れて、容姿に関係なく勝手に結婚すると決めていたけれど、ドンピシャの好みに目が釘づけになる。隣で、蓼科も驚き声が出ないのだ。
紗菜「あの、どなたか、私のメガネを……」
その言葉に、蓼科がハッとなり、飛んで行った紗菜のメガネを拾い、本人へ渡した。
メガネをかけていつもの紗菜へ戻ったが、紗菜からしたら社長とぶつかった事実を知ったのだ。
紗菜「しゃ、社長。大変申し訳ございませんでした」
下げられる限界まで頭を下げて謝罪している。自分の余所見も原因なので、全く怒っていない翠だが、チャンスとばかりに動く。
翠「水野さん」
紗菜「へ⁉」
個人的な面識はないにも関わらず、突然名前を呼ばれて驚きの声を上げた。
蓼科「翠、突然名前を呼ばれたら驚くだろう?」
翠「あっ」
ここで、一方的に名前を知っている理由を考えるも、咄嗟に言葉が出て来ない。
翠「水野さんが痴漢に遭っている女性を助けたことがきっかけで、新規取引がスムーズに進んだと報告書で上がってきています。先日、営業部へ行った際に、たまたま水野さんを呼んでいる社員を目にして、認識していたので驚かないで下さいね」
紗菜「はあ……」
イマイチ納得のできる説明ではなかったが、社長とぶつかってしまい、事が大きくなる前に去りたい。スマホを探して辺りをキョロキョロする。
蓼科「スマホをお探しですか? どうぞ」
蓼科は、メガネと一緒にスマホを拾っていたのだが、たまたま目にした画面が気になり、先にメガネだけを返していたのだ。
紗菜「ありがとうございます。失礼します!」
逃げるように去って行く紗菜を、翠と蓼科は笑いを堪えて見送った。
営業部部長より、新規取引開始と、きっかけになった紗菜のことが、報告書で上がってきた。
蓼科「翠、見てみろ」
翠「何だ?」
蓼科「お前の気になっている、水野さんの話題だ」
翠「どういうことだ?」
紗菜のことだと聞き、翠は一気に興味を示す。報告書を隅々まで丹念に目を通して、翠は思わず感嘆の息を吐き出す。
翠「やっぱり、水野さんは期待を裏切らない」
蓼科「仕事以外でも、魅力のある女性ですね」
翠「誰かに取られる前に、俺が何とかしないと」
ブツブツと一人何かを考えている翠をみて、本気なのだと悟る。見た目は別として、人間的に魅力のある女性は、世間が放っておかないだろう。
蓼科「相手は、うちの社員なんですから、無茶はしないで下さいよ」
翠「わかってる」
今まで、翠の方から女性に興味を持ったことがないだけに、どうなるのか未知の世界なのだ。
蓼科「そろそろ、外出の時間です」
翠「ああ」
紗菜のことが気になっても、仙石不動産の社長として、分刻みにスケジュールは埋まっているのだ。じれったいが、どうにもできない現状なのだ。
〇会社のエントランス
車をエントランスの車寄せに手配して、二人は外出する。エレベーターで最上階から一階まで、途中止まることもなく、エントランスへ到着する。
エレベーターから降りると、社長の登場に周囲はざわつく。ところが、外出先から帰ってきてスマホに夢中の紗菜は、全く気づかずにエレベーターへと、スマホを見たまま歩いている。
蓼科と予定を確認しながら歩いていた翠と、スマホに夢中で周囲を見ていなかった紗菜が、お互いに気づけず正面からぶつかり、紗菜は尻もちをつく。翠は、何とかその場に止まる。ところが翠の視線の先の方へと、紗菜のメガネとスマホが飛んでいき、メガネとスマホの行方を追っていた翠の視線が、次にぶつかった紗菜へと向けられる。紗菜は、メガネが飛んでいき、ぶつかった相手が誰かも見えない状態だ。視線をぶつかった相手へ向けるも、顔はわからないしスマホの行方も気になる。
翠「……」
紗菜のメガネがない状態の素顔を見て、衝撃を受ける。メガネの下には、翠好みの美少女が隠れていた。紗菜の書類に惚れて、容姿に関係なく勝手に結婚すると決めていたけれど、ドンピシャの好みに目が釘づけになる。隣で、蓼科も驚き声が出ないのだ。
紗菜「あの、どなたか、私のメガネを……」
その言葉に、蓼科がハッとなり、飛んで行った紗菜のメガネを拾い、本人へ渡した。
メガネをかけていつもの紗菜へ戻ったが、紗菜からしたら社長とぶつかった事実を知ったのだ。
紗菜「しゃ、社長。大変申し訳ございませんでした」
下げられる限界まで頭を下げて謝罪している。自分の余所見も原因なので、全く怒っていない翠だが、チャンスとばかりに動く。
翠「水野さん」
紗菜「へ⁉」
個人的な面識はないにも関わらず、突然名前を呼ばれて驚きの声を上げた。
蓼科「翠、突然名前を呼ばれたら驚くだろう?」
翠「あっ」
ここで、一方的に名前を知っている理由を考えるも、咄嗟に言葉が出て来ない。
翠「水野さんが痴漢に遭っている女性を助けたことがきっかけで、新規取引がスムーズに進んだと報告書で上がってきています。先日、営業部へ行った際に、たまたま水野さんを呼んでいる社員を目にして、認識していたので驚かないで下さいね」
紗菜「はあ……」
イマイチ納得のできる説明ではなかったが、社長とぶつかってしまい、事が大きくなる前に去りたい。スマホを探して辺りをキョロキョロする。
蓼科「スマホをお探しですか? どうぞ」
蓼科は、メガネと一緒にスマホを拾っていたのだが、たまたま目にした画面が気になり、先にメガネだけを返していたのだ。
紗菜「ありがとうございます。失礼します!」
逃げるように去って行く紗菜を、翠と蓼科は笑いを堪えて見送った。