ブラックアトリエから不当に解雇されたけど、宮廷錬成師になっていた幼馴染と再会して拾われました〜実は隠されていたレアスキルで最高品質の素材を集めていたのは私だったようです〜
「どうして、ショコラがここに……?」
「そ、それはこっちの台詞よ。クリムこそどうして王都に……」
八年ぶりに幼馴染と再会した私は、泣いていることも忘れて彼をじっと見据えてしまう。
昔よりもだいぶ背が伸びて、声も落ち着いた印象になっていたけれど、変わらない幼なげな顔を見て彼だと気付けた。
どうしてクリムが王都フレーズにいるのだろう?
確か行商人のお父さんから商売についての基礎を学ぶために、今は旅路に同行しているはずじゃ……
「――っ!」
直後、私はハッとして顔を覆う。
そして急いで目元を擦って涙を拭った。
泣いているところを見られてしまった。
よりにもよってクリムに。
するとクリムは、私が目元を擦っているせいでさらに泣いたと思ってしまったのか、戸惑ったような声を漏らしていた。
直後、唐突に私の腕を掴んで引っ張って来る。
「ちょ、ちょっと何!?」
「何って、この状況だったら僕が泣かしたみたいに見えるだろ。とりあえず人気のない所に行こう」
そのまま町の通りを十秒ほど進んだところで、手頃な裏路地を見つけた。
クリムはそこに私を連れて行き、僅かに進んだところで足を止める。