ブラックアトリエから不当に解雇されたけど、宮廷錬成師になっていた幼馴染と再会して拾われました〜実は隠されていたレアスキルで最高品質の素材を集めていたのは私だったようです〜
空き家に挟まれた薄暗い小道。
人気はないので、私が泣かされているように見られる心配はないけど、それとは別の緊張感が……
その後、クリムは慌てた様子で私の腕を放した。
「ご、ごめん、急に引っ張って……」
「それは、別にいいけど……」
私としても往来で泣いている姿を晒すのは嫌だったし。
ただ、そのせいでクリムと二人きりの状況になってしまった。
私としてはそっちの方が望ましくない展開だったかもしれない。
だって、クリムは……
「それで、どうしてここにショコラがいるんだ? ポム村にいたはずじゃ……」
「……別に、なんだっていいでしょ」
「……」
素っ気なくあしらうと、クリムはそれにムッとした表情を返してきた。
直後、肩をすくめてぶっきらぼうに言う。
「……そうだね。別になんだっていいことだ。そっちがどこで何してようが」
私とクリムの間に険悪な空気が流れる。
それもそのはずで、私たちは今、絶賛“喧嘩中”の間柄だからだ。
およそ八年前に起きてしまった大喧嘩が、いまだに糸を引いている状況。
私はクリムを許さないし、クリムだって私のことを恨み続けているはず。
昔は、二人きりでよく一緒に遊ぶくらい、仲が良かったのに……