ブラックアトリエから不当に解雇されたけど、宮廷錬成師になっていた幼馴染と再会して拾われました〜実は隠されていたレアスキルで最高品質の素材を集めていたのは私だったようです〜
「ていうかそっちこそ、どうして王都にいるのよ? 行商人のお父さんについて行って、色々学ぶって言ってたでしょ」
そのために村を離れたはず。
そう疑問に思って問いかけてみたのだが、クリムに呆れた顔をされてしまった。
「自分のことは話さないのに、僕にも同じ質問するんだ」
「うっ……」
「後先考えずに発言するのは相変わらずだね。まあ、別にいいけど」
カッと一気に顔が熱くなる。
なんだか向こうだけ冷静で、こちらが空回ってしまっている感じが恥ずかしい。
確かに自分のことを話さないくせに向こうのことを聞くのはおかしいよね。
「それじゃあ、僕のことを教えるから、その代わりにそっちのことも……」
教えてくれ。
とでも言うつもりなのだろう。
それなら平等だけれど、なんだかクリムに主導権を握られているような気がして、その悔しさから私は先手を打った。
「私が王都にいるのは、三年前に家を出てここに来たからよ。錬成師になって、アトリエを開くためにね」
「アトリエ……」
クリムは納得したように頷く。
「そういえばチョコさ……母親の夢を代わりに叶えるって、みんなに言ってたっけ。それで十五で家を出たってことか」
「うん。だから私は今ここで、見習い錬成師として修行してるの。で、そっちは? お父さんの跡を継ぐために、一緒に旅して勉強するんじゃなかったの?」
私のことは教えた。
だから今度はこちらが教えてもらう番だ。
どうしてクリムの方こそ王都にいるのか。