ブラックアトリエから不当に解雇されたけど、宮廷錬成師になっていた幼馴染と再会して拾われました〜実は隠されていたレアスキルで最高品質の素材を集めていたのは私だったようです〜
「父さんとは三年前に別れたんだよ。僕は僕でやりたいことを見つけたから」
「やりたいこと?」
「で、今は王都でその仕事をしてる。父さんも背中押してくれたし、行商人じゃなくてこっちの道で行くって決めたんだ」
「ク、クリムは今、何をしてるの……?」
私の記憶では、クリムはとてもお父さんのことを尊敬していた。
それで村のみんなにも行商人の跡を継ぐと言って、幼い頃から勉強していたと思うんだけど……
怪訝な目を向けていると、言いづらそうな様子のクリムから、驚くべき事実を突きつけられた。
「宮廷錬成師」
「えっ?」
「だから、錬成師として宮廷に雇われてるんだ」
「……」
宮廷、錬成師……?
宮廷に雇われて、王族もしくは王国騎士団からの依頼を受けて活動をしている錬成師のこと。
ギルドに所属している錬成師とは違い、ギルドからの束縛などを受けずに自由に錬成術での活動ができる。
加えて宮廷内にアトリエを設けてもらえて、販売実数ではなく固定給をもらっているため生活も安定しているらしい。
同時に宮廷職は一世代限りの男爵位ともなるそうで、れっきとした貴族の一人ということになる。
クリムが今、その宮廷錬成師?
必然的に多くの疑問が、湧き水のように溢れ出てくる。