ブラックアトリエから不当に解雇されたけど、宮廷錬成師になっていた幼馴染と再会して拾われました〜実は隠されていたレアスキルで最高品質の素材を集めていたのは私だったようです〜
クリムのアトリエで……?
あまりにも唐突だったため、言葉の意味を理解するのに数秒かかってしまった。
まさかそんな提案をしてくるなんて、思ってもみなかったから。
あのクリムが、私に対して……
思いがけないことを言われたせいで、何も返せずに固まっていると、クリムは改めて勧誘の言葉を掛けてきた。
「行くとこ、他にないんだろ? なら僕のアトリエに来て、徒弟として働いてみないか?」
「な、なんで……? なんで急に、そんなこと……」
ようやくのことで疑問を返すと、クリムは銀髪を掻きながら答えてくれる。
「最近やたらと、騎士団の方から武器防具や傷薬の錬成依頼を出されて、そろそろ一人で回すのがきつくなってきたんだ。だからできれば、仕事の手伝いをしてくれる人がいればいいと思ってたんだよ。ショコラは素材採取係として働いてたみたいだし、ちょうどいいと思って」
宮廷錬成師としての仕事がきついから手伝いが欲しかった。
取ってつけたような理由ではなく、クリムの顔を見るに本当に厳しい状況のようだ。
でも、私が聞きたいのはそんなことではない。
アトリエに誘ってきた理由ではなく、私が本当に聞きたいのは……
「もちろん無理な仕事量を押しつけたりはしないし、錬成術の修行の時間だって設ける。わからないことがあったら僕が教えるし、給金だってそこそこ払えると思うよ。だから、まあ、その……お互いに利点が多いと思ったから、こうして誘ってみたって言うか……」
「そうじゃ、ないよ……」
「えっ?」
「なんで私に、“優しくするの”って聞いてるの」