Love is blind〜無口で無愛想な作家は抑えられない独占愛を綴る〜
「どこから話せばいいかな……とにかくあの頃の瑠維は、いつもピリピリした空気を身にまとっていて、近寄り難い雰囲気だったよ」
博之は過去に思いを馳せるかのように宙を見上げる。それから自分用に淹れてあったお茶を口に含んだ。
「俺は学校が違ったし、瑠維から連絡が来たら話を聞く、いわば相談相手にしかなれなくてさ。ただ話を聞くだけでも、その女性からの束縛は相当なものだった。それでもあいつが自分を見失わなかったのは、やっぱり佐倉がいたからなんだ」
思いがけない言葉を聞いて、春香は目を瞬いた。
「でも瑠維くんとは卒業以来、ずっと会っていなかったよ? 私は瑠維くんが苦しい時に、何もしてあげられなかった。離れていたから当たり前のことかもしれないけど、今はそれが悔しくて仕方ないんだ……」
「佐倉は昔から行動力があったからね。へこたれないし、グイグイ突き進んでいくというか。だからそう思うのも仕方ないのかもしれないな」
高校時代の春香は何事にも突き進むタイプで、博之の近くで彼に女子が近寄るのを阻止していた。その行動力のおかげで、椿と博之の距離が近付くことがなかったのも事実だった。
「まぁ確かに会ってはいなかったけど、心の支えにはなっていたんだよ。辛い時、佐倉の写真を見返しては『僕には佐倉先輩がいればそれだけでいいんだ』って、まるで呪文みたいに言い続けてた」
その時、ようやく瑠維がプールでこぼした言葉の意味が繋がったような気がした。
『そういうことじゃないんです。僕の心がずっと春香さんだけを欲していた……だからどんなに辛い時も耐えられた。春香さんを思うだけで自我を保てたし、強くなれたんです』
あぁ、そうか。そういうことだったんだーー私が瑠維くんのことをすっかり忘れて生活していた間も、彼の生活の中に私は存在していた。
そこに心はなくても、瑠維によって存在意義を与えられ、知らないうちに彼を支えていたのだ。
博之は過去に思いを馳せるかのように宙を見上げる。それから自分用に淹れてあったお茶を口に含んだ。
「俺は学校が違ったし、瑠維から連絡が来たら話を聞く、いわば相談相手にしかなれなくてさ。ただ話を聞くだけでも、その女性からの束縛は相当なものだった。それでもあいつが自分を見失わなかったのは、やっぱり佐倉がいたからなんだ」
思いがけない言葉を聞いて、春香は目を瞬いた。
「でも瑠維くんとは卒業以来、ずっと会っていなかったよ? 私は瑠維くんが苦しい時に、何もしてあげられなかった。離れていたから当たり前のことかもしれないけど、今はそれが悔しくて仕方ないんだ……」
「佐倉は昔から行動力があったからね。へこたれないし、グイグイ突き進んでいくというか。だからそう思うのも仕方ないのかもしれないな」
高校時代の春香は何事にも突き進むタイプで、博之の近くで彼に女子が近寄るのを阻止していた。その行動力のおかげで、椿と博之の距離が近付くことがなかったのも事実だった。
「まぁ確かに会ってはいなかったけど、心の支えにはなっていたんだよ。辛い時、佐倉の写真を見返しては『僕には佐倉先輩がいればそれだけでいいんだ』って、まるで呪文みたいに言い続けてた」
その時、ようやく瑠維がプールでこぼした言葉の意味が繋がったような気がした。
『そういうことじゃないんです。僕の心がずっと春香さんだけを欲していた……だからどんなに辛い時も耐えられた。春香さんを思うだけで自我を保てたし、強くなれたんです』
あぁ、そうか。そういうことだったんだーー私が瑠維くんのことをすっかり忘れて生活していた間も、彼の生活の中に私は存在していた。
そこに心はなくても、瑠維によって存在意義を与えられ、知らないうちに彼を支えていたのだ。