Love is blind〜無口で無愛想な作家は抑えられない独占愛を綴る〜
「る、瑠維くん……?」

 呼吸が乱れ始めた時、春香のお尻の下で瑠維のモノが硬くなっていくのがわかる。

「春香さん……わかりますよね? 僕は春香さんにしか感じないんです。だからあの人の前では使い物にならなかった」

 眉間に皺を寄せ、どこか辛そうな様子で笑った姿に胸が締め付けられた。

「で、でも……こういうことをするのは怖くなったりしない? しながら思い出すことはない?」
「春香さんはそういうことを考えている余裕があるんですか? 僕はあなたを前にすると、抑えが効かなくて何も考えられなくなってしまいます」

 きっと今も抑えが効かなくなっているのだろう。止まらない手の動きに徐々に体に力が入らなくなり、瑠維の体に身を任せる。

「こんなレイプ同然のことをされた僕でも、春香さんはそばにいてくれますか……?」
「そ、そんなこと、口にしなくていいよ! 瑠維くんは何も悪くないじゃない……悪いのは瑠維くんを傷つけたあの人なんだから……!」
「じゃあ、いいんですか?」
「そんな当たり前のことを聞かないで! ずっとそばにいるって言ったでしょ?」
「良かった……」

 すると瑠維の手が突然ぴたりと止まったので、春香は(おもむろ)に頭を上げた。

「瑠維くん……?」
「ただ一つだけ不安なことはあるんです」
「どんなこと? 私に手伝えることってある?」
「えぇ、春香さんにしか出来ません」
「私にしか?」

 春香が首を傾げると、瑠維は服の中から手を取り出し、両手をスッと差し出したのだ。

「僕の手足を縛って、春香さん主導のセックスがしたいです」

 思いもしなかった言葉に、春香は凍りつき、空いた口が塞がらなくなる。

「ちょ、ちょっと待って。私主導? 意味がわからないんだけど……。それに、そんなことをしたら辛い記憶が蘇るんじゃ……」
「それを知りたいんです。確かにあの時の記憶がフラッシュバックするかもしれない。でももし春香さんと記憶の上書きが出来るのならそうしたい……。もし無理そうなら途中できちんと言います。ダメでしょうか?」

 その時、春香は瑠維の手が小刻みに震えていることに気付いた。春香に心配をかけないよう明るく振る舞っているが、不安を必死に隠しているのかもしれない。

 言葉で聞いたとしても、春香には想像しか出来ない。急に自由を奪われ、部屋に閉じ込められ、望みもしない性行為を強要され、拒絶しても受け入れてもらえない、助けを求めても誰も来てくれない絶望感。

 苦しかったよね。すごく辛かったはずーーもしそれを軽減してあげられるなら、力になりたい。

「……無理だったらちゃんと言ってね」
「もちろんです」

 自分からなんて、本当は恥ずかしすぎる。それでも瑠維くんのためになるのなら頑張ろうって思えるのーー。

 緊張のせいか、心臓が早鐘のように打ち付けるのがわかる。息も苦しくなってきた。

 春香は意を決すると、瑠維をソファの背もたれに押し付け、勢いよく唇を塞いだ。
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