Love is blind〜無口で無愛想な作家は抑えられない独占愛を綴る〜
* * * *

 シャワーを浴びた二人は、家にあったカップ麺で夕食を済ませた。

 午前中から出かけたことに加えて激しい運動までしてしまったため、普段以上に疲れ切ってしまっていたのだ。

 瑠維は今日のことを警察に報告をすると言って書斎に行ってしまったので、春香はソファに座ってぼんやりとテレビを見ていた。

 お笑い芸人がたくさん出ているバラエティ番組を一人で見ながら、時折吹き出して笑ってしまう。ただ心から笑えないのは、やはり彼の電話が気になっているからかもしれない。

 あの人のことなのはわかっているが、どんな話をしているんだろうーーというか、あの人は今までに何回くらい瑠維くんの前に姿を現しているのだろう。

 瑠維の様子を見ていれば、一回や二回ではないと思う。彼女をそこまでの気持ちにさせるものは何なのか気になった。

 その時に書斎のドアが開く音がして春香は振り返る。戻ってきた瑠維がいつもと変わらない様子だったので、安心したように息を吐いた。

 瑠維は春香の隣に腰を下ろすと、背もたれに体を沈めた。

「話せた?」
「えぇ、今日のことを報告して警告してもらうことになりました。春香さんにもご迷惑をおかけしてしまい、すみませんでした」
「ううん、大丈夫だよ」

 春香は何か言いたげな顔をしながら耳たぶに触れたが、少し悩んでから口を閉ざした。しかしその様子を見ていた瑠維が、春香の顔を覗き込んだ。

「何か言いたい事があるなら聞きますよ」
「えっ、あっ、うん……別にたいした事じゃないの。こういうことって今までも結構あったのかなって思って」
「そうですね……あれからもうすぐ五年が経ちますが、忘れていた頃に突然現れるんです。僕に執着しているのか、それとも自身の鬱憤を晴らしに来ているのか……事実はわかりません。だとしても接近禁止令が出ているのは変わりませんからね。あの人は自分がしたことを犯罪とは思っていないんです」

 それはあの場に居合わせた春香にもわかった。もし罪の意識があって、自分の行いを後悔しているのであれば、まず瑠維の前には現れないはず。もし現れたとしても、謝罪の言葉を述べるくらいはするだろう。

 しかしどちらもなかった。ということは、あの人は今も自分が悪いとは思っていないのだ。
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