Love is blind〜無口で無愛想な作家は抑えられない独占愛を綴る〜
* * * *
店を出る時から、瑠維が駐車場に停めた車に乗り込むまで、町村がまだどこかにいるような気がして辺りをキョロキョロと見回した。
しかし春香の視界に彼の姿は入らなかったため、安心して助手席に身を沈める。
昨日とは逆のルートで瑠維のマンションに向かうが、あの高級なタワーマンションに足を踏み入れることに緊張を覚えた。
自分のような一般人が入っても大丈夫だろうか。そう考えては不安になる。
「あの……私なんかが入っても大丈夫?」
春香が聞くと、瑠維はミラー越しにキョトンとした表情を浮かべる。
「何も問題ないですが……」
「本当? だってほら、すごくセレブっぽいマンションだったし、私こんな格好だし」
「大丈夫です。意外と皆さん、普通の方だったりしますし」
「それなら良かった……」
車は駐車場に入っていく。エレベーターから少し離れた場所で車を停めると、瑠維はバックで車を入れ始める。
モニターを見ながらとはいえ切り返しをほとんどせずにスムーズに停めた瑠維に、春香は思わず胸がときめいてしまった。
昔漫画やドラマで憧れたヒーロー像に、瑠維がとても近く感じたのだ。
私ったらなんて不謹慎なことを考えてるのかしらーー春香は目を閉じて頭を横に振る。
「先輩?」
「はっ、はいっ⁈」
気付くと助手席のドアが開けられている。
「そろそろ降りましょうか」
「あっ! そ、そうだよね! 今降りるね!」
春香がカバンと荷物を持って降りようとすると、先程のように瑠維がまた手を差し出した。
「あの……これはどっち?」
困ったように首を傾げた春香に対し、瑠維は小さく笑ったように見えた。
「さぁ、好きにしてください」
春香は少し迷ってから、瑠維の手に自分の手を重ねる。そして降りてからも、瑠維はを離そうとはせずにそのまま歩き始めた。
「そっちの荷物も持ちますよ」
「だ、大丈夫!」
繋がれた手について聞くことも振り払うこともしなかったのは、それが嫌ではなかったからかもしれない。
町村に腕を掴まれた時は危機感や恐怖心を感じてゾッとした。体中が拒否反応を示していたのに、瑠維の手には自ら手を重ねてしまった。
エレベーターを待っている間も、乗ってからも、瑠維の手はしっかりと春香の手を握りしめている。
これは"先輩後輩"の範囲だろうか。いや、そんなことがあるはずはない。だって高校時代にだってこんなことはなかった。
瑠維がどんな気持ちでいるのか気になったが、エレベーターが到着した音がしたため、春香の意識は扉へと向いた。
店を出る時から、瑠維が駐車場に停めた車に乗り込むまで、町村がまだどこかにいるような気がして辺りをキョロキョロと見回した。
しかし春香の視界に彼の姿は入らなかったため、安心して助手席に身を沈める。
昨日とは逆のルートで瑠維のマンションに向かうが、あの高級なタワーマンションに足を踏み入れることに緊張を覚えた。
自分のような一般人が入っても大丈夫だろうか。そう考えては不安になる。
「あの……私なんかが入っても大丈夫?」
春香が聞くと、瑠維はミラー越しにキョトンとした表情を浮かべる。
「何も問題ないですが……」
「本当? だってほら、すごくセレブっぽいマンションだったし、私こんな格好だし」
「大丈夫です。意外と皆さん、普通の方だったりしますし」
「それなら良かった……」
車は駐車場に入っていく。エレベーターから少し離れた場所で車を停めると、瑠維はバックで車を入れ始める。
モニターを見ながらとはいえ切り返しをほとんどせずにスムーズに停めた瑠維に、春香は思わず胸がときめいてしまった。
昔漫画やドラマで憧れたヒーロー像に、瑠維がとても近く感じたのだ。
私ったらなんて不謹慎なことを考えてるのかしらーー春香は目を閉じて頭を横に振る。
「先輩?」
「はっ、はいっ⁈」
気付くと助手席のドアが開けられている。
「そろそろ降りましょうか」
「あっ! そ、そうだよね! 今降りるね!」
春香がカバンと荷物を持って降りようとすると、先程のように瑠維がまた手を差し出した。
「あの……これはどっち?」
困ったように首を傾げた春香に対し、瑠維は小さく笑ったように見えた。
「さぁ、好きにしてください」
春香は少し迷ってから、瑠維の手に自分の手を重ねる。そして降りてからも、瑠維はを離そうとはせずにそのまま歩き始めた。
「そっちの荷物も持ちますよ」
「だ、大丈夫!」
繋がれた手について聞くことも振り払うこともしなかったのは、それが嫌ではなかったからかもしれない。
町村に腕を掴まれた時は危機感や恐怖心を感じてゾッとした。体中が拒否反応を示していたのに、瑠維の手には自ら手を重ねてしまった。
エレベーターを待っている間も、乗ってからも、瑠維の手はしっかりと春香の手を握りしめている。
これは"先輩後輩"の範囲だろうか。いや、そんなことがあるはずはない。だって高校時代にだってこんなことはなかった。
瑠維がどんな気持ちでいるのか気になったが、エレベーターが到着した音がしたため、春香の意識は扉へと向いた。