Love is blind〜無口で無愛想な作家は抑えられない独占愛を綴る〜
 その隙に逃げようとした春香だったが、髪を鷲掴みにされ床に倒れ込んでしまう。

「こんなに君を好きなんだよ! 愛してるんだ!」
「い、痛い……やめてください……!」
「だから俺以外のものになるなんて許さないんだ……!」

 力いっぱい髪を引っ張られ、抵抗したくても力の差がありすぎてどうすることも出来ない。

 お願い……誰か助けてーー心の中でそう叫んだ瞬間、頭に瑠維の顔が思い浮かぶ。

 迷惑をかけたくないって思ったのに、瑠維の優しさにちゃんと甘えれば良かったと今更後悔してしまった。

 瑠維くん、ごめんね……あなたの言うことをちゃんと聞いていれば、こんなことにはならなかったかもしれない。本当にごめんなさいーー。

 その時だった。部屋のドアが勢い良く開き、警察官が飛び込んできたのだ。

「動くな!」
「な、お、俺は何もしてない!」

 警察官は町村を春香から引きはがすと、暴れる町村の手に背後から手錠をかけた。

「春香さん! 大丈夫ですか⁈」

 呆然とする春香の耳に、聞きたいと思っていた声が響く。

「瑠維……くん? えっ……なんで……?」

 何が起きたかわからないまま目を瞬いていた春香の体を、瑠維がきつく抱きしめた。更に頭が混乱し始めた春香だったが、隣で町村が大暴れしていたためようやく我に返る。

「話は聞いていたぞ! 住居不法侵入の現行犯で逮捕だ」
「ただ話をしていただけだろ⁈ 何がいけないんだ!」
「いい加減にしろ! 相手の同意があって部屋に入ったのか?」

 警察官は春香の方に向き直ると、
「お尋ねしますが、同意の上で招き入れましたか?」
と聞いた。

 春香は大きく何度も首を横に振り、
「違います! 勝手に入ってきたんです!」
と、必死に否定した。

「だそうだ。さぁ、立ちなさい」

 警察官に連行される町村を眺めながら、春香はようやくあの絶望感からようやく解放されて体の力が抜けるのを感じた。

「良かった……間に合って本当に良かった……」
「瑠維くん……」

 瑠維の体温と力強さに包まれ、気持ちが少しずつ落ち着いていく。だがそれと同時に、彼の声と体が小さく震えていることに気付いた。

 心配してくれたんだーー私が何も言わずに勝手なことをしちゃったから、彼を不安にさせてしまった。

「ごめんなさい……」
「……すごく心配したんですよ……でも今はいいです。あなたが無事で良かった……」

 その優しさに胸をグッと掴まれた春香は、思わず瑠維に抱きつくと大きな声で泣き始めた。
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