Love is blind〜無口で無愛想な作家は抑えられない独占愛を綴る〜
「じゃあ……今日は早番だから、七時頃に来てもらってもいい?」
「えぇ、もちろんです」
二人は食べ終えた食器をキッチンに運び、瑠維が洗い物をしていく。その横で春香はお茶を最後まで飲み干した。
「今日は上司の方に話をするんですか?」
「うん、心配してくれていたから、ちゃんと報告するよ。それに……異動のことも話そうと思って」
「異動……ですか?」
「なんていうか、やっぱりあの職場で働き続けるのは少し怖いかなって思って。ほら、引っ越しもしたいし、それなら新しい場所で心機一転、新しい生活を始めるのもいい気がして」
それは町村が職場に現れた時に考え始めたことだが、あの男が捕まったとしても気持ちが変わることはなかった。
場所には思い出が残る。それは消えることはなく、いつまでも刻み込まれるような気がしていた。
瑠維はメガネをクイっと押し上げながら、じっと春香の言葉に耳を傾ける。それはまた何かを考えているような仕草だった。
「春香さん、ちゃんとお伝えしたいことがあるのですが」
「ん? なぁに?」
「僕たちはお互いに好きだと確認し合いました。ですから僕と……恋人同士になっていただけませんか?」
春香はキョトンとした顔になる。
「……もうそのつもりだったよ」
「本当ですか? それなら良かった」
どこか安心したように口角を上げた様子の瑠維を見て、春香はキュンと胸がときめく。しかし時間は刻々と過ぎ、春香の家を出る時間になってしまった。
ソファに置いておいたカバンを持つと、慌てて玄関に向かう。
「じゃあ行ってくるね」
「あっ、春香さん。大事なことを忘れていました」
「えっ、何?」
そう言って振り返った瞬間、体を強く抱きしめられて唇を塞がれる。朝とは思えない深いキスをされ、春香は腰が砕けそうになった。
「恋人同士ならばいいですよね?」
「い、いいけど……」
唇を舌で舐め、にこりと笑う彼の笑顔を見たら、反論する言葉は見つからない。
「じゃ、じゃあ今度こそ行ってきます」
「はい、行ってらっしゃい」
あぁ、欲求不満になりそうーー春香は後ろ髪引かれながら、勢いよく部屋を飛び出した。
「えぇ、もちろんです」
二人は食べ終えた食器をキッチンに運び、瑠維が洗い物をしていく。その横で春香はお茶を最後まで飲み干した。
「今日は上司の方に話をするんですか?」
「うん、心配してくれていたから、ちゃんと報告するよ。それに……異動のことも話そうと思って」
「異動……ですか?」
「なんていうか、やっぱりあの職場で働き続けるのは少し怖いかなって思って。ほら、引っ越しもしたいし、それなら新しい場所で心機一転、新しい生活を始めるのもいい気がして」
それは町村が職場に現れた時に考え始めたことだが、あの男が捕まったとしても気持ちが変わることはなかった。
場所には思い出が残る。それは消えることはなく、いつまでも刻み込まれるような気がしていた。
瑠維はメガネをクイっと押し上げながら、じっと春香の言葉に耳を傾ける。それはまた何かを考えているような仕草だった。
「春香さん、ちゃんとお伝えしたいことがあるのですが」
「ん? なぁに?」
「僕たちはお互いに好きだと確認し合いました。ですから僕と……恋人同士になっていただけませんか?」
春香はキョトンとした顔になる。
「……もうそのつもりだったよ」
「本当ですか? それなら良かった」
どこか安心したように口角を上げた様子の瑠維を見て、春香はキュンと胸がときめく。しかし時間は刻々と過ぎ、春香の家を出る時間になってしまった。
ソファに置いておいたカバンを持つと、慌てて玄関に向かう。
「じゃあ行ってくるね」
「あっ、春香さん。大事なことを忘れていました」
「えっ、何?」
そう言って振り返った瞬間、体を強く抱きしめられて唇を塞がれる。朝とは思えない深いキスをされ、春香は腰が砕けそうになった。
「恋人同士ならばいいですよね?」
「い、いいけど……」
唇を舌で舐め、にこりと笑う彼の笑顔を見たら、反論する言葉は見つからない。
「じゃ、じゃあ今度こそ行ってきます」
「はい、行ってらっしゃい」
あぁ、欲求不満になりそうーー春香は後ろ髪引かれながら、勢いよく部屋を飛び出した。