Snow magic



こうやって、パーク内の歩道を歩いてただ話すだけの私たち。


でも……、そんなロスタイムのような、静かで時計の針が止まっているかのようなこの時間が私にとってはすっごく心地よくて…、嬉しかった。






「あ……っ、きれい…!」


歩いていて何気なく池のあるパークの真ん中の方を見ると、池の反対側にある塔とその周りに咲いている花の相性が良くて、すごく綺麗だった。




景色に見惚れて、魅入るあまり柚燈がこの景色が見えなくて想像すらできていないことにも気づかなかった。



「あ…っ、ごめん!柚燈。1人で景色楽しんじゃって……。」
 

「いや、別にいいよ全然。聞いてて楽しいし。」


気を遣っているのかとも思ったが、柚燈は本当に楽しそうだった。

それならもっと楽しんでほしいと思い、私は景色を言語化することに決めた。





「あ、じゃあ見えたもの説明するね。えっと…、まず真ん中に池あったの覚えてる?」 

「うん。」

「でね、そこに塔があるじゃん端っこに。で、その塔の横側一面が全部花で覆われてるの。」

「へぇ、冬なのにな。……そういえば、俺らって冬にここ来たことなかったっけね。」


「そうかも…。大体春か秋だね。」


確かに…、ここへは桜とか…、紅葉とか…とにかく花が見頃な時期にしか来ることがなかったかもしれない。

それに冬にここに来るのはすごく寒いし、さすがに避けていた気がする。




「だね。で、どんな花どれくらい咲いてるの?」


…やっぱりフォトグラファーを目指してただけある。

風景の緻密なところまで理解したいんだろうなぁ。


なんて、勝手に思ったり。


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