Snow magic
「確か…、あれは山茶花(さざんか)だったかなぁ。」
「山茶花、か。ってことは一面ピンクってこと?」
山茶花は、昔2人で植物園に見に行ったこともある花だ。
ツバキ科の花で、見た目は名前の通りツバキによく似た花である。
「うん。ショッキングピンク色に緋色を淡く混ぜたくらいの色合いかな。塔は、純白じゃん?だから、塔をより白く引き立てる感じですごく色の相性がいいと思う。」
これで、少しは伝わったかな………?
「なるほどね。」
めっちゃ的確でわかりやすいじゃん、ちゃんと想像できた。と言いながら考え込んだ柚燈。
……うん?どうしたんだろう?
少しの沈黙に私が首をひねれば。
「……。ねぇ、椛。この風景収めてみない?」
「……?え?どういうこと…?」
柚燈の突然で遠回しな言い方に目を瞬かせる。
「俺が持ってるカメラで写真を撮ってみないかってこと。」
「……っ!!」
いつも突拍子もない事を言い始める柚燈に慣れてはいたが、さすがに驚いてしまう。
「さすがにそれは……っ!私、ちゃんとしたカメラ持ったことないし、全く撮れないよ?大事な柚燈のやつ壊すかもだし…。」
ずっと柚燈が同じカメラを大切にしていたことは知っている。
そんなものに私が触れたら……、
「大丈夫、そんなすぐに壊れやしないから。それに、撮り方とかカメラの角度とかは教えるし。」
「……えっと、」
「ね、いいでしょ?」
ニヤリと口角が上がる。
……なんか、いたずらを始めるときみたい。
いつも、桜也とかにいたずらする前こんな顔で悪く笑っていたのをぼんやり思い出す。
「……うん、いいよ。」
私もふはっと笑ってから、柚燈のリュックの中に収まっていたカメラに手を触れた。