Snow magic
「……。」
「……。」
しばらく沈黙な時間が続いた。
あたりには、波の音と強くなってきた風だけが響いている。
そして、柚燈はずっと前を向いて俯きその片腕を後ろから私が掴み止めている。
雪がコートに積もっていたが、そんなの気にする余裕がなかった。
……、ねぇ……っ私、どうしたらいいの……?
こんな問いかけ答えてくれる人なんてこの世にいないって分かってる。
けど、私の心の中はグッチャグチャで冬の海の波のように荒れていて何が正解だか全く分からなかった。
「……ねぇ、椛。」
そんな中、沈黙を破ったのは、柚燈の方。
「…えっ?あ……うんっ、何?」
ドキッとして、慌てて返事をした。
……何?何を言われる……?
心のなかで身構えたが、放たれた言葉は全く違った。
「……予定とか大丈夫なの?わざわざ寒い中こんなとこまで目的もなく来ないでしょ?」
柚燈はいつまでも冷静で私のことを心配して くれる。
それと同時にハッとする。
やばっ、そうだ!打ち合わせ!!
ここには、時間つぶしのために来てたのであって柚燈とこんな再会して話すなんて想定外中の想定外だった。
慌てて腕時計を見れば。
「…ごめん、柚燈行かなきゃだ、私っ。」
待ち合わせ時間まであと5分を切っていた。
やばい…っ。まじでやばい……。
「……っ、そっか。わかった、じゃあね。仕事頑張って。」
せっかく柚燈に会ったし、また二度と会えなくなるのも嫌なのでもっと話していたかったが待ち合わせ時間が迫っているので仕方ない。
仕事もあって忙しいのに待たせるのも申し訳なさすぎる。
後ろ髪にひかれつつ、雪に降られて坂を1人で登り始めた所だった。