Snow magic
「それで、病気って診断された。徐々に視力が低下して最終的には何1つ見えなくなるって。」
反するように残酷な結末を柚燈の口から発された。
淡々と、何も思ってもいないかのように。
「……ね、え…、今、柚燈は……、もう…?」
___何も見えないの?
震える声で尋ねた。
「いーや?まだ、大きい個体の色の識別くらいはできる。本当にぼんやりしか見えないけど。」
……色の、識別……ってことは、わかるのはそ
のものが何色をしているかだけ……?
「そ。例えば、今このテーブルにりんごがおいてあったとする。で、テーブルは茶色でおいてあるものは赤って区別だけはつくから、ぼんやりと色の違いで何かおいてあるなくらいはわかる、それなりに。」
と、スラスラ用意していたような例え話を始めた。
「……そっか。」
そっと呟いた。
「…あの日、俺も久しぶりに海が見たくなって あそこに行った。やっぱ、椛とは………」
「うん?」
そこまで言って、柚燈の言葉は止まった。加えて、体の動きもぴしっと止まる。
「…っ、ごめん何もない。」
焦ったように口を閉じた。
何があったかはわからないが、隠さないで本当のことを教えて欲しい。
「………。」
柚燈がまた口を閉じて沈黙が流れる。
このままでは、絶対もう帰るって言われてしまうだろう。
「……ねぇ…、柚燈。1つだけ聞いてもいい?」
…柚燈に私の想いを伝えられなくても、これだけは聞きたかった
「いーよ。」
柚燈の頷きを聞いて、一呼吸。
「……、何で…、いなくなったの……?どうして、病気のこと言ってくれなかったの……?」