問題児は座敷わらし
階段を登りきった僕は手が震えていた。

ただ空をもう少し近くで見つめていたい。
イヤホンをして今日の天気に合う曲を流したい。

僕が僕らしく入れる時間が欲しい。

急ぐ気持ちを押えながら扉に手をかけた。

ガチャッ、と音が鳴るはずだった。

「屋上なら常時閉鎖してますよ。」

声のする方に目を向けると、弁当を食べている生徒を見つけた。
それと同時に関わってはいけないと感じた。

だから、

「そうだったんですか。ありがとうございます。」

無難な会話をして去ろうと思った。
現実は上手くいかなかったけど。

「1年生ですか。校章の色からしてそうですよね。それなら仕方ないですよ。私も入学してすぐに同じことしましたし。あ、私がここにいることは内緒で。」

「…わかりました。では、失礼します。」
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