極上ドクターは再会したママとベビーを深い愛で包み込む
 沐浴室から出ると、三上先生とともに篠宮先生が来ていて目が合った。

「お疲れ様」
「お、お疲れ様、です」

 思いきり声を上擦らせたけれど、篠宮先生はポーカーフェイスのままだ。
 ……あれ?やっぱり夢だった?
 いや、でもあのあとしばらくデリケートな部分がヒリヒリと痛んでいたし、理沙にも報告したんだし……。
 頭の中であれこれ考えていると、篠宮先生はコットの茉由ちゃんを覗き込んで、やさしく目を細める。

「かわいいな。もっと見ていたいが、そろそろ時間だ。行くか」
「は、はい」

 コットを押しながら三上先生と篠宮先生と共に新生児科病棟の扉を出ると、ベンチに座っていたご両親が待ち侘びていた様子で立ち上がってやってきた。

「うわあ……茉由、ドレス似合うねえ」
「そうだな」

 声を潤ませるご両親に胸が熱くなる。
 お母様はおくるみに巻いた茉由ちゃんをそっと抱っこし、隣でお父様がやさしく茉由ちゃんを覗き込む。
 まるで幸せの象徴を見ているようだ。
 三上先生が注意点やフォローアップ外来の説明をし、篠宮先生は次の心臓の検査について話をする。
 聞き終えたご両親は「ありがとうございました」と深々と頭を下げた。

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