極上ドクターは再会したママとベビーを深い愛で包み込む
 ここは花村医院。
 内科、小児科、産婦人科を標榜しており、六十床の入院病床を備え、二百人の医療スタッフが働く病院だ。
 私が出産したのも、この場所。
 産前産後、思っていたよりもずっと生活にお金がかかり、貯金はどんどん減っていった。
 拓斗が生まれて早く仕事をしなくてはと思い、まず保育園を探したけれど、なかなか空きは見つからない。
 そもそも幼い子どもがいるといつ熱を出して保育園から連絡がくるかもわからないため、仕事も見つけにくい。
 そこで私は、さんざん悩んだ末に康太くんに電話をしてみたのだ。
 こんな悩み事を話されても困るだろうと思ったけれど、康太くんは自分のいる花村病院で働くことを勧めてくれて、すぐに院内保育室の空きも確保してくれた。
 0歳児で入った拓斗も、今月ちょうど三歳になった。
 今安定した生活を送っていられるのは、康太くんのおかげだ。

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