極上ドクターは再会したママとベビーを深い愛で包み込む
 気づけば、私は熟睡していたらしい。
 
「菜乃花、菜乃花」
「……へ?」

運転席から拓海さんが呼ぶ声で目が覚めた。
車窓からは、見慣れたアパートが見える。
いつの間にか自宅に着いていたようだ。

「私、完全に寝ちゃってました……?」
「半口開けてな」
「えっ」

 拓海さんは意地悪に笑う。
 半口を開けて間抜けな顔を晒していたと思うと、恥ずかしくなる。
 そういえば、以前もこんなやりとりがあったな。
 まだ拓斗を授かる前……プロポーズを受けた日の車の中だ。
 懐かしさに浸っていると、拓海さんに呼ばれた。
「拓斗くん起こすとかわいそうたから、少し話をしよう。助手席へおいで」
「は、はい」

 拓斗が起きないよう、ゆっくりドアを開け閉めして助手席へと移動した。
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