白衣を着た悪魔の執愛は 不可避なようです


話題沸騰中のホラー映画を観て、モール内のレストランで昼食をとった。
夏休み中ということもあって、親子連れが多い中、モール内のショップを巡る。

「そう言えば、二日酔いは大丈夫か?映画観ながら頭押さえてたけど」

分かってるなら映画は控えてくれたらよかったのに。
一応家を出る前に頭痛薬を服用した。
だから、幾分かマシだけど。

隣りを歩きながら、クククっと笑いを堪えている。
こういうちょっと意地悪なところがイラっと来る。

「欲しい物とかないの?」
「少し化粧品が見たいんですけど、いいですか?」
「ん、いいよ」

別に彼のためにお洒落するとかじゃない。
日焼け対策のスキンケアが欲しいだけ。
そろそろ本格的にシミ対策をしておかないと、三十を過ぎたら一気に出てきそうだから。



「神坂さんっ、本当に払わせて下さいっ!」
「一緒にいる時くらい、払わせて。それと、神坂さんじゃなくて、采人(あやと)。いい加減、名前で呼んでくれてもいいのに」
「っ……」

結局、スキンケアだけでなく、グロスやアイシャドウなども買って貰った。
いざ支払おうとしたら、既に会計済み。
私が使い方を教わっている間に彼が支払いを済ませてしまったのだ。

「じゃあ、私にも何か買わせて下さい」
「俺にプレゼントするっていう意味?」
「……はい」
「じゃあ、下着で」
「なっ……」

即決で答えるだなんて、私が言うことを予想していたのだろうか?

男性の下着売り場だなんて入ったことない……こともないけど。
恋人でもないし、余興のプレゼント交換という意味合いでもないのに、男性下着だなんて…。

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