白衣を着た悪魔の執愛は 不可避なようです
(采人視点)

「用意できたか?」
「……はい」

リビングに姿を現した夕映は、スキニーデニムに白いブラウスというカジュアルな装い。
髪は緩くアップに纏め上げていて、スタッドピアスだけというシンプルな仕上がり。

「指輪はどうした?」
「着けないとダメですか?」
「どこで奴が見てるか、分からないだろ」
「……」

渋々といった表情で寝室に取りに行く夕映。
いつになったら着けることに慣れてくれるのやら。
昨日はあんなにも俺に応えたのに。

昨夜、嫉妬に駆られた俺は、酔い潰れている彼女の唇を奪った。
軽めのキスに留めておこうと思ったのに、軽く啄んだら彼女の方が先に俺を求めて来た。

元彼と勘違いしているのかもしれないと思ったら、更に嫉妬心に火がついて。
気づけばキスだけではおさまらず、手がワンピースの中を彷徨っていた。

漏れ出す甘い艶声をもっと聞いてみたくて煽ったら、がぶっと噛みつかれた。
その後は、軽いバトルみたいに抵抗する彼女と拘束プレイ?みたいなのを楽しんでいたら、見事に吐かれたという顛末。

彼女が一体どこまで思い出したのか。
知る術はないが、恥ずかしがるところを見ると、俺を『男』として意識しているのは確認できた。

もっと俺を意識しろ。
単なる男としてだけでなく、自分に好意を抱いているという男として。

「どこに行くんですか?」
「ショッピングモールにでも行くか?映画館あるし、買い物もできるし、食べる所もあるし」
「……いいですね」
「欲しい物あるなら、買ってやるぞ」
「…甘やかさないで下さい」
「そう言われると、もっと甘やかしたくなるな」
「っ…」

< 94 / 172 >

この作品をシェア

pagetop