私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
「一鈴さんはいらして?」
「一緒じゃなかったのか?」
「呼び出されて個室を出てから、わからないの」
 声が緊迫している。
 穂希は察した。同じ危機を共有している。

「一緒に探してくれ。緊急だ」
「わかりましたわ」
 場所は限られている、すぐに見つかるはずだ。
 だが、一鈴はまったく見つからなかった。
 念のために爽歌の控室に行くが、爽歌はいなかった。
 すぐに管理ルームへ向かった。
 監視カメラの映像を見れば足取りがわかるかもしれない。時間はかかるが、今はそれが最良に思われた。

***

「懲りない方ね」
 爽歌はにこやかに言う。
 赤い振袖はグラデーションで裾が黒かった。金で縁取りされた大きな白い糸菊が描かれていて、優美だが隠微な妖しさがあった。帯飾りにされたペンダントのダイヤが光る。

「懲りる、とは」
「いずれ捨てられるのに、どうして穂希さんに寄ろうとなさるのかしら」
「前回はよろしくと言われましたけど。やっぱり邪魔になりましたか?」
「素直には引いてくださらないのね」
 爽歌はため息をついた。

「あなたがいらしてから多くの不幸が起きました。あなたがおそばにいらしては、穂希さんが不幸になります」
「動くな」
 男の声に振り返ると、ナイフを向けられていた。

「このままドアの外へ出てくださる?」
「私に死ねと」
「事故よ」
「穂希さんの会社に傷がつくのに」
「私の心を傷付けたのだから、それくらいは負っていただかないと」
 うふふ、と爽歌は笑った。
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