私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
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ワインを片手に、佳乃は首をかしげた。
「穂希さんが呼びだしたのかしら」
「だったらそう言うんじゃない? 私を襲った犯人だったりして」
はは、と笑ってから莉衣沙は真顔になった。
「笑ってられないわよね」
「穂希さんに連絡を」
佳乃はスマホを取り出す。
「圏外だわ」
「私も」
二人はがたっと席を立った。
「あなたは座ってらして。まだ足が良くないんだから」
「でも」
「Wi-Fiが繋がるならメールを。私は探しにいきますわ」
「わかった」
佳乃は足早に部屋を出た。
***
穂希はバンケットルームで招待客と歓談していた。
せっかくの遊覧飛行、安全のためにも一鈴のそばにいたい。が、社長の息子としてのつきあいもある。彼女は佳乃たちと一緒だし警備員もつけた。めったなことはないと信じた。
穂希のスマホが震えた。
「失礼」
話していた客に断り、スマホを見る。
時任からのメールだった。
穂希は顔をしかめる。
飛行船の乗務員に一条院からの紹介された者がいるとの知らせだった。
甘かった。襲撃に失敗した直後という油断もあった。
だが、だからこそ飛行船での襲撃を考えるべきだった。どれだけ警戒しても屋敷よりは手薄になるし、今後の屋敷の警備はさらに厳重になる。
穂希は悔やむ。が、まずは一鈴の安全の確保だ。
ここで襲うなら襲撃者とて急な予定変更に違いない。周到な準備はできなかったはずだ。
「すみません、急用です」
客に断ってバンケットを出ようとしたとき、佳乃につかまった。