私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
「大人の関係はなしですよね!?」
「当然だ」
 ほっと胸をなでおろしてまた気が付く。

 女性からずっと遠ざかっていた、ということは彼はもしかして、ど……。
 いやいや、そこから先は考えてはいけない。
 だが、考えだしたら止まらない。
 くくっと笑ってうつむくと、穂希は顔をしかめた。

「ろくでもないことを考えてそうだな」
「その通りです」
「否定しろよ」
「まあ、元気だして!」
 五千万円を約束された紙を受け取り、一鈴はひらひらと手を振った。
 穂希は苦虫をかみつぶしたような顔でそれを見ていた。


 
 その後、穂希と一緒に彼の両親に会った。滉一は渋面を作り、恭子は考え直すように迫った。
 だが、彼が譲らなかったため、一鈴の一カ月の滞在が決まった。
 滉一は再度の婚約者選びを指示した。
 婚約者候補たちも別邸に住み続けることになった。

 別邸の雰囲気は最悪だった。すれ違うメイドたちはひそひそしながら一鈴を見る。
 用意された客室は豪華で落ち着かなかった。

「一鈴様づきのメイドです」
 と、多美子から二人のメイドを紹介された。
 玉江と結衣子だった。
 見知った顔だったので、少しほっとした。



 食事は令嬢が一堂に会して食堂でとることになっていた。
 婚約者として指名された一鈴もそこに行く。
 上座が恭子、続いて爽歌と佳乃で、莉衣沙、香珠萌、一鈴の順だった。

 爽歌は今日も着物だった。
 目が合うと、彼女はたおやかに微笑した。
 美しい、と一鈴はうっとりした。穂希が「大事だ」と明言しただけのことはある。
 好きな女をとられたと言っていたが、その後に爽歌を好きになったんだろうか。

「嫌だわ、いるはずのない人がいて」
 莉衣沙がボソッとつぶやく。
「みなさまにお知らせがあります」
 恭子が告げ、全員が彼女に注目した。
「婚約者候補として一人加わりました。一鈴さん」
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