私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~



 飛行船は急遽予定を変更して地上に戻った。
 乗客には急病人が出たと説明がなされた。
 地上に降りてすぐ、穂希のスマホが鳴った。電話に出た穂希は、驚いて一鈴を見る。
「コスモさんの意識が戻った」
「本当に!?」
「こちらの対応は任せて。すぐに行ってあげて」
「莉衣沙さんと佳乃さんも一緒に、いい?」
「もちろんだ」
 穂希が用意した車で三人で駆け付ける。

 あいかわらず面会謝絶だったが、穂希が話を通しておいたようで、病室に入ることができた。
 頭のガーゼはなくなっていたが、酸素マスクはしていた。
 気づいたコスモが一鈴たちを見て、弱々しく顔をゆがめた。微笑んだらしかった。
「コスモさん! よかった、戻ってきてくれた!」
 一鈴はあふれる涙を抑えることができなかった。

「みんな心配してたのよ」
 莉衣沙が涙声で言う。
「そうか……」
 けほっとコスモが力ない咳をした。
「無理してしゃべらないでいいのよ」
 佳乃が言った。声は冷静だったが、そっと目じりをぬぐった。
「バカ男は来てないんだな」
「バカって」
「夢の中で、あの男があんたを泣かしていた。がつんと言ってやるって思ったら、目が覚めた」
「そんな夢見てたの」
 一鈴は泣きながら笑った。

「今度会ったら言ってやって。よくはわからないけど、大変だったみたいなの」
「なにがあったんだ?」
 コスモが聞き返す。
「病室で話す話じゃないです」
「それじゃ早く退院しないとな。ミーティアにも乗りたい」
「ミーティア号は元気にしてますよ。寂しそうですけど」
「私の馬、知ってるの?」
「ちょこっとお世話もさせてもらいました。でもぜんぜん懐いてくれなくて」
「ちょっとじゃな」
 コスモは苦笑しようとして、また咳をした。
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