家出少女の反抗
「私もっ……そう思ってた……でも、違うんだ……周りを照らして……見てっ……みなよ……」
愛の言葉に導かれるように、スマホのライトを壁一面に向ける。
そこにあったのはーー沢山の少女の亡骸にキスをしている優の姿が映し出された。
何もないように屈託な笑みを浮かべた、知らない一面を持つ優がそこにいたのだ。
少女の遺体だと分かったのも、瞬殺だった。
だってどれも、喉元を無残に引き裂かれるように深い傷が見えていたし、酷いものは骨まで見えていたからだ。
その光景を目の当たりにしてしまった、私は私の中で何かが崩れてしまったのか足元がすくんで一歩も動けなくなってしまった。
鼓動も速くなり、瞳孔がこれでもかというくらい極限まで開いて現実を受け入れようとして閉じられない。
携帯のスマホは滑り落ちるように、ベッドの床下へ。
なぞられた肌を包むアルコールの空気が、そうさせているのか視界がグニャリと湾曲する。
しまいには、歯がガチガチと震えて鳥肌が止まらない。
「霞……?大丈夫……?おち……ついて……」
我を失いそうになった私を、愛は私に投げかけた。