家出少女の反抗
私は咄嗟に我に返った。
一体、何をしていたのだろう。
とりあえず今は、彼女を解放して助け出すのがやれることだと分かりきっていたのに。
とりあえず目についた手錠を外す為に、辺りを物色。
ちょうどバッドが部屋の隅にあったので、手を拘束していた手錠を壊す。
勢いよく振りかざしたお陰で、手錠は部品もろとも粉砕。
手首を拘束していたそれも、完膚なきまでに破壊してゆく。
全ては、愛とこの異質な空間から抜け出す為に。
どうしてここまで、愛を助けようとしているのかは正直良くわからない。
あまり仲良くしたくないタイプで、生き方だって天と地の差がある。
だけど、互いに深い心の傷を舐め合うような共存心のような物が芽生えてきているのかもしれない。
どんな心の傷がそうさせているのかは分からないけれど……。
とにかくこの一室から出て、愛と二人でどこか安全な場所に避難したかった。
その強い気持ちが、私を強く押したのだがーー現実は甘くない。
「はーい。霞ちゃーん。ストップー!」
首元にチクリと冷たい鋭利な物が当たる。
注射器だ。
息を飲み込むのも出来ないくらい、強い力で首元を締めつけられた。