冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる
というか豹牙さんの後ろで私の動揺っぷりを笑ってる丸メガネとちょんまげの人は何者ですか!?


あぁ、ここでも分からないことばかりだ。

でもここのことはこれから知っていけばいい。
豹牙さんは"そういうもの"だというあやふやな共通認識を押し付けてこないって知ってるから。


一通り笑った豹牙さんは、改まって私を見た。
相変わらず綺麗な瞳をされている。



「よく来たな。大変だったろ」

「はい、とっても。『私が心配だから』という理由でしつこく言われましたが私が泣いたフリをしたら娘に嫌われたくない父親が娘の望みを聞いてあげる優しい父親モードに入って母親を説得したので来れました」



簡単に話しただけだが豹牙さんは苦虫を噛み潰したような顔をした。
まぁ豹牙さんと両親の相性は最悪でしょうからね。

そんなことを思っていると、不意に豹牙さんがぽん、と私の頭に手を添えた。



「そうか。頑張ったな」

「っ、ありがとうございます」



まさかこんな風に褒められるとは思わなかったから、つい泣きそうになった。
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