冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる
正確な情報を突き止める度に周りからは恐れられていくのも、入学したての頃は話しかけてきた子がどんどん離れていくのも、全部どうでもよかった。


私はここに友達を作りに来たわけではないから。


私はただ、豹牙さんの役に立ちたいだけだから。


そしてそれは入学式のときにいた丸メガネの人とちょんまげの人──裕次郎さんと浬も同じだった。

その数日後には、賢人も加わった。


私たちは5人で色んなことをした。

榊館を占拠にして最上階を勝手にリフォームしたり、【堕天】をどう潰したらスカッとするか討論したり、使えそうな人をスカウトしたり裏社会の人とアポを取ったり。


各々がしたいことを伸び伸びとやる、自由な日々を謳歌した。


もちろん何かやらかしたときは怒られたが、それで私の信頼がなくなることはなかった。

むしろ自分で後処理を済ませば、「良くやったな」と逆に褒めてくださった。

そのとき豹牙さんはいつも、どこか嬉しそうで。
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