蜜月溺愛心中
その言葉はどこか震えており、今にも泣き出す一歩手前のように椿には思えた。ゆっくりと顔を上げる。清貴と視線が絡み合った。

「姫乃さんに対して、恋愛感情を抱いたことはありますか?」

「ない。天地がひっくり返ってもない。あいつとは高校の部活が一緒だった、ただそれだけの関係だ」

「腕を組まれた時、嫌でしたか?」

「もちろん嫌だった。ただ、無理矢理振り解くと転んで足を捻る可能性があったから、我慢するしかなかった」

「……わ、私が「腕を組みたい」と言ったら、嫌ですか?」

「嫌じゃない。椿となら、腕を組みたいと思ってる」

清貴は真剣な顔をしており、その言葉に嘘偽りがないことが嫌でもわかる。椿はただ嬉しかった。この瞬間だけ、恋愛結婚をした夫婦のような気持ちになれたような気がしたのだ。

「信じます。私は、清貴さんを信じます。あなたの妻ですから」

椿が笑みを浮かべながらそう言うと、清貴の指が頰に触れた。指が優しく涙を拭った後、清貴も微笑む。
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