蜜月溺愛心中

「信じてくれてありがとう。不安にさせてすまない」

二人は微笑み合った後、抱き締め合った。

しばらく抱き締め合った後、椿と清貴はクラゲコーナーに近付いてくる足音と声に気付き、ようやく離れた。しかし、離れた二人の顔は赤く色付いている。

「早く菜月さんたちのところに戻らないといけませんね」

「いや、その必要はない。元々俺たちは二人で来たんだ。二人で回りたいと菜月たちには伝えた」

それはつまり、もう姫乃と清貴が腕を組んでいる姿を見なくてもいいということである。椿はそのことについて嬉しさを感じたものの、「いいのでしょうか？」と訊ねた。

「一緒に回りたいと子どものような駄々を姫乃が捏ねたせいでこうなってしまったんだ。問題ない。翔太たちとは、また後日一緒に食事でも行こう」

清貴はそう言った後、椿に手を差し出す。椿は、「やっとこの手を独り占めできる」と思いながらその手を取った。手に触れた後、自分の考えていたことが恥ずかしくなってしまう。

（私、どうしてそんなことを思ったんだろう？焼きもちとか、まるで私、清貴さんのことが……）