蜜月溺愛心中
「清貴さん」

清貴の顔を見上げる。彼の瞳の奥で揺れている熱に、椿の胸が高鳴った。清貴の顔が近付いてくる。

(清貴さん……)

この瞬間、二人の気持ちが一つに重なったような気がした。椿は人目を気にすることなく、ただ清貴を受け入れようと目を閉じる。刹那。

「おみくじ、お前何だったんだよ〜?見せろよ〜!」

「やめろよ!絶対に見せねぇからな!」

小学生と思われる男の子の声が椿の耳に響く。刹那、椿の腰の辺りに衝撃が走った。男の子がぶつかったのだ。

「わっ!」

椿の体がふらつき、それを清貴が慌てて支える。耳に清貴の心音が響き、椿の胸がギュッと締め付けられた。

「大丈夫か?」

「はい」

数秒間の沈黙が訪れる。椿と清貴は離れることなくそのままでいたのだが、清貴が思い出したかのように言った。

「俺たちも買うか、おみくじ」

「そうですね」

重なった気持ちは嘘かのように離れていく。椿は胸に走った痛みに知らないフリをして微笑んだ。
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