三途の駅のおくりもの



 ーーこの村に通っていないはずの電車を見かけた舞依は、不思議に思い、何度も見に来ていたらしい。そんなある日、知った顔の人が乗っていたそうだ。遠い親戚で、顔だけは覚えているくらいの人。そうしたら次の日、その人の訃報が届いた。その後も似たようなことが二度あった。小学生時代の校長先生、曾祖父。それで確信したらしい。あの電車はあの世行きだ、と。

 それを聞いて、また新しい疑問が湧いた。


「どこから来てるんだろうな、あの電車」


 舞依はぽかんと口を開けて、たしかに、と言った。

 線路をたどれば、駅があるはずだ。普通なら。まあ、普通じゃないのはわかっているが。廃線になる前の駅が残されているかもしれない。


「じゃ、確かめに行こう!」


 舞依の一言で俺たちは、線路をたどってみることを決めた。しかし、もう日が暮れる。まばらな街灯だけでは頼りない道のりになるだろう。予定は、休日である明日へ繰り越すことにした。

 いつもと違う、日が暮れる前の待ち合わせ。舞依は私服で来るのだろうか、そうだとしたら初めて見る、なんて、変な期待が胸の内に渦巻いた。いつもと同じなのに、いつもと違う。不思議とそわそわして落ち着かない気分だ。そんな感情の名前は知らない。


 当日、柄にもなく遅刻しそうになって、早足で向かう。しかし――俺が舞依と会うのは叶わなかった。


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