三途の駅のおくりもの



 不登校。登校拒否。そんなところだろうか。その先輩が言うには、三年生になった頃から顔を見た覚えはないらしい。俺は舞依のことを何も知らなかった。

 あんなに明るくていつも元気で、友達だって多そうなのに。学校に来ていないなんて思いもよらなかった。でもすぐに、その考えは(くつがえ)る。舞依は繊細だ。知らない人が死んだことで、泣きそうになるくらいに。見送られないのはかわいそうだと、自分が傷ついてまで人のためを思うくらいに。だからきっと、舞依なりの理由があるんだ。


 ――会いに行こう。俺に何ができるかわからないけど、俺が、舞依に会いたかった。





 懲りずにまた足を運んだ線路の近くで、トラ猫が佇んでいた。俺を見つけると小さく鳴いて、尻尾を立てながらすり寄ってくる。


「おまえさ、知らない? 舞依がどこにいるか」


 そう言うと、トラ猫は突然走り出す。少し行ったところで振り返り、俺を呼ぶように鳴いた。着いてこいとでも言っているのだろうか。自分でもバカバカしいと思いながら、トラ猫の後を追う。だがやはり猫は猫、道案内は途中で終わり、新たな獲物を見つけたようで塀の向こうへ消えていった。


「なんだよ……」


 悪態をつきながら、なんとなく、そのまま真っ直ぐ歩みを進める。線路に沿って歩いていることに気づくのに時間はかからなかった。そうだ、あの日は二人でこうして歩く予定だったんだ。線路をたどれば駅に着くかもしれない。舞依はあの日一人で駅を見つけて、今もそこで待ってるのかもしれない。

 ――そんな都合のいい予感は、当たった。


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